大崎結真、新アルバム『レ・ドビュッシー』を聴いて
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アルバムの収録曲は、「前奏曲集 第1巻」「映像 第1集」「映像 第2集」。この週末、2回通してじっくりと聴いてみた。
ドビュッシーの「前奏曲集 第1巻」は、いろんなピアニストがステージで演奏している。私も幾度となく耳にしている。ただ、ぼんやりと淡い、悪く言うとユルくてあまり印象に残らない演奏も多く、この曲集全曲をステージでバシっと弾くのは難しいんだろうな、と思っている。
その点で、彼女の演奏は一曲一曲が明快で、“展覧会の絵”的な楽しさがあった。特に「遮られしセレナード」から「沈める寺」へ続くあたりが絶妙だ。「アナカプリの丘」「西風の見たもの」などはライブ感にあふれ、ほかのピアニストの前奏曲集とは違った雰囲気になっている。
リサイタルを体験した人は理解してもらえるのだけど、彼女の持ち味は、卓抜したテクニックに基づいた「魔術性」だと私は思っている。ホールという空間に「デーモンを召喚」できる魔術師だ。CDだと、どうしてもガラス越しに魔術を見ている印象があり、やっぱり彼女の演奏はナマでないと、と思った。
次のリサイタルを楽しみにしてます。
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大崎結真 オフィシャルサイト