9/26 芝居「騒音歌舞伎 ボクの四谷怪談」感想
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橋本治が、四谷怪談をベースに1976年に書いた脚本を、蜷川幸雄が「暴力的」に演出。江戸時代と元禄時代を、強引にも同じ空間の出来事として物語は進む。1970年代の実験性や荒々しさが感じられる舞台だった。
麻実れいさんは相変わらず安定感のある演技だったが、騒々しいロックミュージカルの中で、一人、伝統的な歌舞伎の型や表現で演じたお岩役の尾上松也が光っていた。また、ノーマークだったが、お袖役の栗山千明も存在感あった。彼女、ホントに歌がうまいんだ。ナマで見る佐藤隆太もエネルギッシュ。
以下、ネタばれです。
蜷川さんの破壊的な演出が冴えていた。舞台の左右に、江戸時代(歌舞伎)と1970年代(ワーグナー「指輪」)を対比させて、真ん中で昭和の深夜ラジオ番組のパーソナリティーが左右の芝居を仕切る演出はお見事。
ラストシーン、劇場の舞台奥をすべて開放して、渋谷の町をクルマ、歩行者が行き来する「ナマの交通風景」を背景に!したシーンは鳥肌が立った。
蜷川さん演出、8月に観たシェイクスピア『トロイラスとクレシダ』よりも面白かった。
ただ、「ロックミュージカル」という割りには、鈴木慶一氏の音楽は印象に残らなかった。ミュージカル性にとぼしいからだろうか。
シアターコクーン「騒音歌舞伎 ボクの四谷怪談」
シスカンパニー「騒音歌舞伎 ボクの四谷怪談」
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