【練習日誌】ラモー「ため息」の和声メモ
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ラモー/クラヴサン曲集より「ため息」(使用楽譜)
ラヴェル/ボロディン風に(使用楽譜)
休日なのでしっかりメトードをやった。
それから、ラモーの「ため息」の和声をじっくり見直してみた。この曲をなぜ弾きたくなったかというと、全般的に中庸な雰囲気なのに、ちょっとしたドラマ性があって、私はそこに惹かれたのだ。
で、どうしてこのような中庸な雰囲気を感じるのだろう?と、改めて楽譜を見直して一つ気がついた。
属和音から主和音への解決=ドミナントモーションにおいて、属和音に7度がないのだ。ニ長調なので、通常はキメの部分がA7→Dとなる。ところが、「ため息」ではすべてA→Dとなっている。この「緩い解決」が中庸な響きをかもし出しているのかもしれない。
ただ、7度抜きの「緩い解決」ではあるけれど、そこへの過程を見ると、ベースのラインに載せて転回形和音が連続している。転回形和音というのは主音がベースにないので、私はちょっと重みのない不安定さを感じる。なので、最後の解決が7度を抜いたA→Dであっても、そこまでの過程が不安定な転回系和音の連続なので、「句点」の意味を十分に持つのではないだろうか。
ラモーのほかの楽曲は分析していないので、この曲の特徴なのかどうかはわからない。
乱暴な言い方をすれば、西洋音楽の歴史とは「属和音の複雑化」だと思っている。ラモーの『和声論』は読んでいないが、彼がイメージしていた和声とは、響きそのものは極めてシンプルで、和音の転回と、経過音・刺繍音・繋留音等で物語をつむぐものだったのでは?
なんてことを、夜中に考えた。
ラモー氏の原理に基づく 音楽理論と実践の基礎
ジャン・ル・ロン・ダランベール/著
片山千佳子、安川智子、関本菜穂子/翻訳
春秋社
原書名は´EL´EMENS DE MUSIQUE,TH´EORIQUE ET PRATIQUE,SUIVANT LES PRINCIPES DE M.RAMEAU(d’Alembert,Jean Le Rond) 。この本、ちょっと気になってます。