グスタフ・レオンハルトの死去に思う
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昨年5月、東京文化会館でのリサイタルを聴くことができた。そのときのレポートはこちら。アンコールで弾いたバッハの無伴奏チェロ組曲 第6番よりサラバンドが、強く印象に残っている。撥音楽器なのに、あたかも弦楽器のようにカンタービレだった。
一曲を終えた後、「さてさて次は何を弾きましょうかね」って感じで、ペラっと楽譜をめくる姿が自然体で微笑ましかった。ライブを聴くことができて本当によかった。昨年の来日時、明治学院大学でパイプオルガンも演奏されていた。聴きに行くべきだった。
実は、昨年、このリサイタルの告知を目にするまで、レオンハルトがご存命だと思っていなかった。なんせ、初めて彼を知った中学生の頃、すでに巨匠だったので……。
以下、リサイタル告知を知ったブログ記事と重複するが、レオンハルトの存在を知った頃の思い出を。
私がレオンハルトの演奏に初めて接したのは、1983年、中学三年くらいだった。当時、フランス・ブリュッヘン率いる18世紀オーケストラが古楽ブームを巻き起こしており、雑誌『音楽現代』を読みながら、アムステルダムの新しいムーブメントに、アンテナを立てていた‥‥なんておマセな中学生!
今でこそ、バロック以前の古楽器の認知は高いが、80年代当時、ビオラ・ダ・ガンバやバロックバイオリン、チェンバロなどで紡がれる響きはとびきり新鮮だった。それまでは、バッハの管弦楽組曲だって、カール・リヒター指揮の壮麗なオーケストラで聴いていたし、それがバロックだと思っていたから。
で、久しぶりにLPレコードを保管しているダンボール箱を開けてみた。
ううー、懐かしい。コレッリのソナタ集と、ルイ・クープランとクロード・バルバートルのクラヴサン小曲集が出てきた。コレッリのソナタ集は、フランス・ブリュッヘン(リコーダー)、アンナ・ビルスマ(チェロ)、そしてグスタフ・レオンハルト(チェンバロ)の演奏。ラ・フォリアが入っていて、当時、ちょっと話題になったアルバムだ。
ケースの中をのぞいてみると、当時の帯もしっかり保管していた。帯付きだと希少価値が高かったりして。
早速レコード針を落としてみた、と書きたいところだが、あいにくレコードプレーヤーを持っていないのだ。残念無念。
バロックの響きを現代に蘇らせた業績の数々、お礼を申し上げ、謹んでご冥福をお祈りいたします。