6/4 アンネ=ゾフィー・ムター東京公演の感想
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この日は初めて都バスに乗ってサントリーホールへ。渋谷から六本木アークヒルズ、新橋方面に向かう1番のバスは5分に1本運行しており、意外に便利。開場と同時にホールに到着、ロビーにはムターの少女時代からの活動が写真展示されていて、楽しく時間をつぶせた。
プログラムは下記。
モーツァルト/バイオリンソナタ ト長調 K.379
シューベルト/幻想曲 ハ長調 D.934
(休憩)
ルトスワフスキ/パルティータ
サン=サーンス/バイオリン・ソナタ 第1番 ニ短調 Op.75
彼はロストロポーヴィチと11年にわたり共演し、1988年からムターのリサイタルでピアノを務めているという。ソロピアノばかり聴いていたので、彼の知識はなかったが、室内楽のピアニストとしては世界第一人者であるらしい。ウナコルダを多用し、「押し」と「引き」を絶妙のバランスで引き分けていた。続くシューベルトの幻想曲も、ムターのバイオリンよりもオルキスのピアノの方に耳がいってしまった。
というわけで、前半はムターの印象が薄かったのだが、後半のルトスワフスキで彼女の世界をまざまざと見せつけられた。緊張感あふれる演奏は息がつまるほど。思わず「Bravo」と声に出してしまった。
サン=サーンスは技巧的なソナタだが、ルトスワフスキと違って開放的な雰囲気。でも、ルトスワフスキのパルティータの方が印象が強かったかな。
アンコールは3曲、ラヴェル「ハバネラ」、マスネ「タイスの瞑想曲」、ブラームス「ハンガリー舞曲第1番」と、NHK名曲アルバム的ナンバーだった。こちらは、メインのメニューと打って変わって、エンターテイメント性あふれる演奏で、彼女のエンターテイナーとしての横顔を見ることができた。
ところで、ピアニストのオルキス氏は、楽譜を見ながら弾いているのだが、譜めくりの人なしで、器用に、というより優雅に楽譜をめくりながら弾いていた。あたかも譜めくりが演奏の一部のようだった。
帰りも都バスで渋谷に向かったが、これが大失敗。ちょうどサッカーワールドカップ予選の日本対オーストラリアの群衆が六本木、渋谷共にあふれていて、道路が大混雑。結局、途中の青山付近でバスを下りて、渋谷まで歩いて帰った。
モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲全集
演奏/アンネ=ゾフィー・ムター、ロンドン・フィルハーモニー
発行/ユニバーサル ミュージック クラシック
2006年のモーツァルト・イヤーに向けての録音。ムターの弾き振りによる全集という、興味深いアルバム。併録されている協奏交響曲は、ヴィオラの名手、バシュメットとの共演で、こちらも注目の録音である。(CDジャーナルより)