国際アマコン2012 受賞者演奏会の報告(中編)
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1月27日(日)、杉並公会堂で行われた国際アマチュアピアノコンクール2012受賞者演奏会の報告の続きです。前編はこちら。
先に、この日のステージ衣装をご説明。ひとことで言うと“重点クライアント営業向けスーツ&シューズ”でした。数年前、アールンピアノコンクールの入賞者演奏会ではタキシードを着ました。ですが、演奏以外に気を取られる要素をできるだけヘッジしておきたいので、アマコン本選も今回の演奏会も、普段着慣れているスーツと靴にしました。
下がこの日のプログラムです。
竹本義就(B部門入選)
モーツァルト/ピアノソナタ K.283
ラヴェル/「ハイドンの名によるメヌエット」「ボロディン風に」
藤林咲子(B部門第3位)
ラヴェル/ソナチネより第2、3楽章
メトネル/忘れられた調べIIより 第3曲「プリマヴェーラ」
阪下力(B部門第2位)
リスト/巡礼の年第3年よりエステ荘の噴水
リスト/2つの伝説より「波を渡るパオラの聖フランシス」
西村英士(B部門第2位)
アムラン/「コン.インティミッシモ・センティメント」より
レントラーI、子守歌(戦争の時の)
アムラン/「全ての短調による12の練習曲集」より
第6曲「ピアノフォルテのための練習曲(ドメニコ・スカルラッティを讃えて)」、
第9曲「ロッシーニによる」、第3曲「パガニーニ=リストによる」
中村香織(A部門入選)
F.クープラン/第14オルドルより「恋する鴬」「鴬の変奏」
吉松隆/プレイアデス舞曲集IIより「鳥のいる間奏曲」
モンポウ/前奏曲集より第7番「星でできた棕櫚の葉」、第8番
姚皇治(A部門入選)
ショパン/舟歌Op.60
プッチーニ/アルバムの一葉
大渕良弘(A部門第3位)
バッハ/パルティータ第1番BWV825より
ラヴェル/夜のガスパールより「スカルボ」
上原ひとみ/ザ・ギャンブラー
中村晃(A部門第3位)
フランク/プレリュード、コラールとフーガ
武田愛弓(A部門第1位)
モーツァルト/ピアノソナタ K.333
モーツァルト/幻想曲ハ短調(未完) K.396
いざ、ステージに出て客席を見ると、後ろの方は満席ですが、前の二列は空席が目立ちました。まぁ、アマコンの演奏会に来る人はピアノの特性をわかってらっしゃる方が多いので、ステージに向かって後ろの方の真ん中~右側の座席から埋まったのでしょう。一、二列目は観客があまりいなかったので、ちょっとホッとしました。演奏中、じっとこちらを凝視している人が視界に入ると、緊張しますから。
イスに座って少しだけ高さを調整。落ち着いた気分で、一曲目のモーツァルトのソナタの演奏を開始。第一楽章のソナタ形式の提示部は、どうもバシっと音が入らなかったものの、展開部、再現部と進むごとに指の支えが効き始めました。続く第二楽章も、まずまず歌えることができました。第一・第二楽章は、昨年の一次予選、二次予選でもこのホールで弾きましたので、気分的に楽でした。
ところが第三楽章。テンポが早くなると、途端にタッチに「欠け」が出始めました。特にオクターブの箇所が雑に。オクターブの重音がテンポに合わせてバシっと決まらないと、この曲はダメなのです。うーむ、ここ数週間、ラヴェルにシフトしていたからなぁ‥‥。
ソナタ全曲を弾いて、ちょっと集中力が息切れしました。15分は長い。気を取り直して、ラヴェルへ。
ラヴェルの「ハイドンの名によるメヌエット」は、正直、あっという間に弾き終えてしまった印象。リハーサル時の暗譜落ちの箇所は、舞台袖でのイメージトレーニングで、頭の中にコード進行と合わせて楽譜ごと投影しておいたので、問題なく通すことができました。リハーサルがあって本当によかった。
「ボロディン風に」は単音の旋律を、一音一音もう少していねいに演奏したかった。ちょっと走ってしまった感あり。もう一度、演奏できるとていねいに演奏できるんだけど。
演奏を終えて客席に礼をすると、二次予選でご一緒した女性が笑顔で拍手していただいている姿が見えて、うれしかったです。終わった終わった。
ホワイエに出ると、前職の会社で同僚だった同世代女性二人とばったり。2007年、ピアノを再開したとき、私一人で開いた発表会にも来てくれた二人。
「うさぎさん、あの頃とずいぶん変わりましたね。すごく丸くなった印象。最初に聞いたときは、仕事ぶりと同じく激しい感じだったのに」と。演奏のスタイルが変わったというよりも、自分自身のライフスタイルが変わったんだろうな。
二番手の藤林さんの演奏は聴けなかったけど、三番手の阪下さんの演奏を聴こうと客席へ。ここからが楽しい時間の始まり、始まり。
後編に続く
ショパン増刊
「日本の世界の音楽コンクール全ガイド2013年版」
発行/ハンナ
国内外のコンクールのほか、オーディション、音楽祭・セミナー・マスタークラスの情報を網羅。仙台国際音楽コンクールや高松国際ピアノコンクールの審査委員長のインタビューも掲載している。B5版/200ページ