国際アマコン2012 受賞者演奏会の報告(前編)
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遅ればせながら、先週日曜、1月27日(日)に杉並公会堂で行われた、「国際アマチュアピアノコンクール2012」受賞者演奏会の報告です。
昨年の受賞者演奏会は、高校生の長男と出かけました。前回までは上位3位入賞者による演奏会だったので、「来年も観に行こう」という軽い気持ちでいました。ところが、今回は「入選」のメンバーもステージに立てることになり、幸運にも私が演奏できることに。
というわけで、ここ数年、12月の門下発表会が終わると、しばらく仕事モードでピアノはオフシーズンだったのですが、今年は年末年始が本番への仕込みの時期になりました。昨年10月に主催の日墺文化協会から出演の出欠連絡をいただいたときは、ラッキーなプレゼントとして手放しで喜んだものの、1月に入ってだんだん気が重くなりました。
コンクールは参加者がお金を出して自分のために参加するもの、いわば「消費する側」。しかし、受賞者演奏会は「供給する側」。心理的負担はすごく大きかったです。数年前に紀尾井ホールで金子勝子ピアノ教室45周年演奏会に出演させていただいたときも、同じようなしんどさがありました。手持ちのチケットは知人、友人に無料で配りましたが、休日にわざわざ聴きに来ていただくわけですから。
ま、今回、私は9人中の先頭バッター。後ろに素晴らしい方々が控えているので、少しばかり気が楽でしたが‥‥。
さて、朝10時からステージのピアノでリハーサルだったので、9時50分にホール到着。私の持ち時間は15分間。本番モードで弾き始めたものの、半年ぶりに弾くベーゼンドルファー・インペリアルの重いタッチにたじたじ。しかも、ラヴェルの「ハイドンの名によるメヌネット」が暗譜落ちしました。過去一年間弾いて、今までまったく何ともなかった箇所で止まってしまいました。どうして?
いやはや、ホールで弾くのは本当に怖い。そして、本番前で本当によかった。
いったん、控え室に帰って今日一緒に演奏する方々とご挨拶し、地下1階の練習スタジオで15分間ほど指ならし。13時の開演まで2時間ばかりあるので、私の後ろの順番で弾く女性と近所のカフェで遅めの朝食を取りました。私も彼女もラヴェルを演奏するので「ベーゼンドルファーでラヴェルを弾くと、キラキラ感が出ないよね」など、ちょっと弱気な会話をして過ごしました。
正午から15分間、再度、地下一階のスタジオに戻って練習。そうこうするうちに、ちらほら来場者の姿が。開演15分前に舞台袖へ。リハーサルでの暗譜落ちの嫌な空気が胸のあたりに残っているので、出番を待つ間もずっと心の中で、15分間の演奏をイメージトレーニングしていました。
ピアノをやっていて一番しんどい時間は、本番前、舞台袖で待っている時間。「オレ、こんなところで何やってんだろう」とか、いつも後悔します。それでもトップバッターで前に演奏する人がいないだけ、心を集中して待つことができますが。
開演のアナウンスが終わって、いよいよ出番。
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