秋、金曜の夜長に(前編)
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友人と彼女が飲んでいる恵比寿のレストランバーに出かけて挨拶をすると、確かにべっぴん。しかも話すと聡明。フランス資本の企業に勤めており、仕事もとてもデキそう。そして、私の大好きな同じ歳(ひのえうま)。楽しい夜になるはずだった。
ところが、話をすればするほど私と意見がかみ合わない。最初は気を遣って、ふむふむとお互いの話を聞いていたが、私も彼女も自己主張が強いので、一時間過ぎるくらいから議論、ディベートのような雰囲気になった。
なんで、初対面なのに、政治や経済、歴史観の話になってしまったのかわからない。彼女=大きな政府がいい VS 私=小さな政府がいい、彼女=労働の量による分配 VS 私=労働の質による分配、彼女=ラディカルフェミニスト VS 私=専業主婦原理主義(爆)と、ことごとく意見が対立する。
帰りがけには、お互い「あなたのような男(女)とは絶対に相容れない!」という、イスラエルとパレスチナの停戦交渉決裂!のような空気になってしまった。
私を誘った友人は、きっと後悔したに違いない。ごめんよ。
しかし、帰りの電車の中で「女性相手にムキに議論するなんて大人気ないな」と少々反省。「要所要所の鋭い指摘は、悔しいけど認めざるをえない」と思い直した。
彼女も彼女で、想像するに、これまで鋭い舌鋒で自分を否定した男性に会ったことがなかったのでは。普通の大人の男性は、初対面なんだから「そうですね」「確かに」と、まず話を聞く姿勢を持つはず。ただ、私に対して「嫌なオトコではあるけど、言っていることは一理ある」と思ったのじゃないかな。
で、私からか彼女からか忘れたけど「ちょっと言い過ぎました。すいません」のようなメールをやりとりがあり、3か月に一度くらい近況報告をメールでし合うようになり、半年に一度、なぜか食事をするようになった。
ただ、実際に会うと、お互いの主義・思想の違いゆえ、ときどき「何、このオンナ(オトコ)」のような雰囲気になる。なのに、3か月するとどちらともなくメールをして、「食事でもしますか」ってことに。
そして、今日も半年ぶりに食事をした。
(続く) ※先に言っておきますが、恋愛ネタではありません。