男の日本映画『聯合艦隊司令長官 山本五十六』
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実は仕事の関係で、今年1月から日本アカデミー賞協会の会員になった。映画を観るのは好きだけど、一般の人よりも多い程度。今年は映画を観るのが「業務」になり、年に一度の日本アカデミー賞の投票権が与えられるので、今年は週に一本、計50本の映画を観る!宣言。
ただ、映画作品全般について追いかけるのは、素人の私には荷が重い。なので、音楽にテーマを絞って追いかけていこうと思う。
なわけで、日曜は『聯合艦隊司令長官 山本五十六 ―太平洋戦争70年目の真実―』を観にいった。夜8時30分スタートのレイトショー。観客は私を入れて7人。寂しいな。
感想を一言でいうと「ザ・男の日本映画!」。
東映の“打ち寄せる波”のロゴから始まり、エンディングロールは小椋佳のテーマソング。クライマックスは、戦艦大和の沈没と司令官の飛行機の墜落、シーンは違うものの、子供の頃、父親に連れられて出かけた映画『連合艦隊』と同じ構造だった。ちなみに『連合艦隊』のテーマソングは谷村新司が歌っていた。
ストーリーは、日米開戦に反対し、戦争が開始してからは勝つためではなく、講和の道を探るために戦い、散っていった連合艦隊指令長官の半生を描いたもの。好戦的な国家は、政府よりも大衆の方が好戦的。一度、流れ出したら止めることのできない「空気」の奔流について、重いタッチで描いていた。
主演の役所広司もよかったが、助演の俳優、柄本明、柳馬敏郎、阿部寛、椎名桔平、全員いい味を出していた。
音楽は、岩代太郎。1965年生まれ、私と同世代の作曲家だ。NHK大河ドラマ「義経」「葵〜徳川三代〜」のテーマ曲のほか、昨年のハリウッド映画『レッドクリフ』の音楽が印象的だった。「ザ・男の日本映画!」を体現する、重厚かつ叙情的な素晴らしい音楽だった。
五つ星評価だと「☆☆☆☆★」(星四つ)。